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2015-03-10 戦略の持続性

_ [仕事][電波] 戦略の持続性

  年度末ということもあり、参加しているIEEE802 Plenaryでは、日本企業の参加者の顔ぶれに、いろいろと変化がある。標準化に関わる人が変わる理由は、もちろん人事異動によるものもあるけど、日本企業の場合、予算によるところが結構多い。

  これには、自社の戦略転換により、部門や個別の活動への予算が削減されるというのは、まぁ競争社会の民間企業としては当然といえば当然だ。これに対して、何らかの補助金等の外部資金が原資になっていて、外部資金が無くなったら、自社では賄えないというのもある。

  いづれの場合も、自社の中の話しなんだけど、仮に何らかの理由で人が抜けた場合、他標準化をしている人に引き継ぎをして、効率を上げるなんていうのは、まず聞かない。

  もちろん、大きな経営戦略の転換で標準化活動への投資が変わる事は、決しておかしな話しではないのだが、こういう場合には、計画的な撤退をすべきだと思う。しかしながら、日本の企業には、そういう計画性のある撤退もみられない。

 これは、逆にいうと参入の時にも、あまり計画性が無い事を示している気がする。標準化は、特定の製品開発と違って、長期的かつマクロな技術経営戦略がないとコストばかりがかかってしまう。だから、標準化の目的を明確にして、そのアウトカムとして何を期待するかを、きちとん理解していないと、単なる情報収集レベルになってしまい、持続性なんていうものは、まったく考慮されなくなるのだろう。

  結局、こういうスタンスだと、人の異動、予算の変化で、活動の持続性が失われるし、他の標準化活動をしている人や組織から信頼されなくなる。逆に言えば、そんな長期で、かつ単純ではない活動に、なぜ世界のエクセレントカンパニーが取り組んでいるのかを探ることが必要かもしれない。

  世界のエクセレントカンパニーは、当然ながら経営の効率や合理性も厳しくみているわけだから、彼らはROIとしてそれなりのモノ得ているはずだ。

  だからこそ、中途半端な情報収集だけのような活動もしないし、仮に人が変わっても、引き継ぐ人がいて、持続的に活動をしていると思う。

  そこで、日本の企業には、中長期的な戦略の基に、標準化活動に参入して欲しいしと思う。また、それが厳しいのなら、いっその事参加しないという明確なスタンスを出しても良いのではないだろうか?

  また、過去に囚われて、ただ活動を継続するというような事は意味が無いから、深謀遠慮の結果として、活動を停止する事はあって然りだ。だけど、あまり深く考えずに予算があるからと参加して、結局のところ中途半端な形で,活動を止めるならば、これほど標準化を推進する側から迷惑な事はない。

  というわけで、国際標準化に対する戦略は、単なる製品とか技術の視点ではなくて、技術経営の戦略として、マクロ的に捉える会社が結局は強いのだろう。

  今日は、長年IEEE802.11で標準化に関わって来た某社の方が、退職にともなって標準化活動から離れるというので、こちらにいる日本の各会社の方で、慰労を兼ねた会食をした。彼は、標準化文章をきちんと精査して、コメントをしっかりと出されていた。だから、欧米の企業の方からも標準化活動のスキルを高く買われていたわけで、こういう貴重な方が標準化から離れるのは、とても残念だ。また、違う形でも復活してくれればとつくづく思った。


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